この物語の主人公･ボッジは、人々に慕われる立派な王になることを夢見ています。

そんなボッジは、生まれつき耳が聞こえず、口も利けません。
また力がとても弱く、剣を満足に振ることもできないほど。
民衆からは、「非力な王子」と、笑われる日々…

何を言われても何をされても、いつも笑顔のボッジ。

物語は、「立派な王様になりたい」という目的を持ったボッジと、 王宮内の人物たちを中心に進行していきます。

どんな作品にも、悪役や嫌な奴の一人や二人はいるものです。
しかし、この作品は「嫌な奴だなぁ」と思っていると、後で「誤解してごめん…」と謝りたくなるような根っこの優しいキャラが多々登場します。

その筆頭が、ボッジの義母・王妃ヒリング様。

ボッジに厳しい言葉を投げかける王妃。

ボッジが第一王子で、実の息子ダイダが第二王子という事実が気にくわない様子です。
そして、ことあるごとに権力を振りかざして死刑、死刑……。
イヤ～な感じのオバサン…そんな風に見える王妃様。

ですが読み進めていくと、ただの嫌なオバサンではないことがわかります。

王妃様は、実は昔からボッジの事を心から愛していました。
ボッジを想うが故に厳しくしている、母としての優しさなのです。

作者さんが絵本も描いていたということもあり、非常に読みやすくなっています。
また絵柄がとてもかわいらしい！
そして、各キャラの感情表現がとても豊か。

剣の試合で弟にコテンパンにされ、負けた悔しさから剣の練習をしようとするボッジのシーンをご覧ください。

非力さから真剣を持つことすらままならないボッジ。
自分の非力さに怒って腕を殴りながら悔し泣きをするボッジに胸を打たれて、気づくと目がウルウルしてきてしまいました。

そしてその後、一人で落ち込んでいたボッジを励まし、「自分は味方だ」と伝えるカゲのシーンも…

ボッジは話すことができないため台詞はありませんが、感情が非常によく伝わりますよね。
逆に話せないからこそ伝わるのかもしれませんが、それも物語に入り込めるポイントです。

読みやすくて、柔らかいタッチ、心温まるストーリー。
どれをとっても素晴らしいとしか言いようがありません！

大人が読んでもめちゃめちゃハマるのですが、小さい子供にも読ませたい！と思えるような素晴らしい作品です。
ぜひ読んでみてください！

王様ランキング

十日草輔

話題沸騰のネットマンガが、ついに電子書籍化!
王族の長男で、巨人の両親を持ちながらも、自身は体が小さく、短剣すらまともに振れないほど非力な王子ボッジ。
しかも耳が聞こえず、言葉が話せないボッジは、周りからは次期王の器ではないと噂され、どこか空虚な毎日を過ごしていた。
しかし、ひょんなことから心が通じる｢カゲ｣という友達を得て、人生が輝き始める。
描き下ろしもたっぷり収録の第1巻!

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